いつの間にか、消えた光景。

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重機が入るので、き電線に黄色い保護カバーがついた。

何ひとつ気取ったところのない駅舎は、限られたスペースに必要なものを次々と付け加えてきたら今の姿になった、という感じだ。
建てられた当初はここに自動券売機や、ましてや自動改札機が並ぶことになるなんて、誰も予想もしていなかっただろう。
今となってはそれも、見ることができない。
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今日26(木)、京成大久保駅の上り線駅舎が、建て替え工事のために閉鎖された。
工事中の約2年間は、真新しいバスロータリーのある、線路伝いを東側に100mほど行った仮設駅舎での営業になる。
ここには元々、小さな入り口専用改札があって、平日朝の6~9時の間だけ営業していた(こちらも今回統合閉鎖)。

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仮駅舎、竣工済。

カメラなんかを趣味にしていると、誰が撮っても同じ画しか撮れない有名観光地の絶景なんかわざわざ見に行かなくとも、退屈するようなことがない。
むしろ身近過ぎたがためにこれまで、ちゃんと記録に残してあげられなかった景色がいくらでもある。
この駅舎閉鎖のお知らせが掲出されてからは、仕事休みの週末のたびに、平日通りに早起きして朝焼けと駅舎を写真に収める決意で前夜布団に入っていたのだが、いざそうなるとなかなか起きられなかったりして。
いつでもそこに当たり前のようにあった景色が、こんなにも簡単に失われてしまうなんて、この時点では想像することができないのだ。
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これを書いている連休初日だった21日も、前夜、来週の会社の健康診断に備えて酒も飲んでいなかったというのに、昼前の11時頃にようやく布団から出る始末で、気づけばこの週末が残すところ「ワンチャンス」になってしまっていた。
コンビニで買った総菜パンを、いつものように駅舎前のベンチで食べながらさて、どういう風に画にまとめたもんかとつらつら考える。
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知り過ぎている場所ほどつい、あれもこれも、になってしまってこれが意外と難しい。
そんな駅前では今日も、小さなドラマがたくさん繰り返されている。
駅で出会う人、ここで別れる人、踏切を渡る人、用事を済ませて戻ってくる人…。
そうこうしているうち徐々に人通り自体が減ってきてしまい、そういえば昼食の買い物があらかた済んだ、一日中で一番、人通りが少なくなる時間帯に入ってしまっていたらしい。
今回閉鎖になる「上り」側駅舎に撮影ポイントを絞ることにして、手狭な駅周辺で安全そうな撮影ポイントをいくつか見つけ、それぞれの場所で少し粘ってみるか。

後で振り返るに、これがロケハンを兼ねたようで、この段階で改めて少し周辺を歩き回っておいてよかった。
今日の俺的ハイライトを、現駅舎と沿線にある付属校の下校模様をちゃんと記録に収めることに定めた。
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しかし程なく間が持たなくなってきて、今日は休校だったのかな、と諦めかけ、踏切脇に半月前くらいに開店したばかりの八百屋で念願の今年初ミカン(が周辺店舗で最安値だったので)を買っていたところ、どうやら今日も制服姿の学生たちの「行進」が始まってしまった。
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思えば毎度、この「行き違い」パターンで、これまでもちゃんと写真に収められていなかったのだ。
あっという間に狭い駅周辺が学生の姿一色に。
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しかし通勤電車の収容力も大したもので、これらの学生をほぼ、ここらでは短い6両編成1本の列車で積み残しなく運びきってしまう
というわけで毎日繰り返されてきた、思った以上に短時間の「イベント」はあっという間に終了。
意外にも、効率が求められる撮影だった。
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昨今、人身事故の急増から何かと「危険な乗り物」扱いされてしまっている鉄道だが、俺はこの、改札口から直接電車に乗れる感じの、鉄道車両が身近に感じられる、電車が街の風景の一部として溶け込んでいる、この駅の造りが好きだった。
特急こそ停車しないが、沿線での利用者数実績はこうした学生たちの利用もあってか、実は特急停車駅である京成八幡駅よりも多かったりする。
その割には手狭で、何しろ線路を挟んで向かい合った上下線ホームはそれぞれの改札を(間違って)入ってしまうと跨線橋や地下道がないので行き来できない造り。上野方面に行きたい客が成田方面の自動改札をうっかり入ってしまい、駅内で向かいのホームにわたる手段がどうにも見当たらずに困惑しつつ駅員さんに尋ねている光景は、何度目にしたかわからない。
しかしこういう不便さも、この駅らしくて何だかいいんだよなー俺には。
新駅舎になっても(不便さはともかく)こういう風情は残っているといいなと思う*1
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これだけたくさんの学生が通り過ぎていきながらも、スマホで明らかに「電車とは別のもの」を撮影していたのを見かけたのは、男子学生ひとり(写真部?)だけだった。
彼もこの失われつつある「日常の光景」に何かを感じて、当事者のひとりとしてスマホを構えていたのではないかと思う(俺みたいなヤツだ)。
ここ最近、駅の建て替えが知らされた7月以降はそんな「ご同輩」をちらほらお見受けする機会も増えていたのだが、いずれも若い男性がごっつい一眼レフを構えており、手狭で時にごった返すこの駅前で大仰なものを振りかざしながら移動されると、正直鬱陶しい、と地元民としては思ってしまう。
スナップ写真「道」としては、「邪道」だろう。
もっとも俺はカメラ雑誌というものをいつの間にか読まなくなってしまったが、「スナップ写真」ということば自体、最近聞かないなぁ。
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およそ30分ほどで何事もなかったかのように人影の消えた駅は、元の静けさの中。
今日の俺はもう、これだけですっかり「お腹いっぱい」、まだ昼過ぎだが早くも充実した一日だった、ということにしよう。
それでなくともこのところ、週末休みになるとあれやこれや思いついてしまいちょっとしたパニックになって、結局何ひとつ手がつかなかった、ということが多かったので、俺としては上首尾だ。

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日が短くなるとともに日の出の時間も遅くなってしまったため、いつもの俺の通勤時間帯だとまだ真っ暗なので、連休最終日だった23日、ようやく平日と同じ時間に起きることができて、じっくりとカメラを構えてみた。
夜明けの現駅舎。
俺が最も多く目にしてきたこの駅の「日常の景色」というものに、実はかなり近い気がした。
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*1:先に改修を終えた京成西船駅同様、完成予想図が公開されていないので、恐らく老朽化部分の建て替えだけで、駅の全体構造は大きく変えないつもりではないかと思われるが。

齢。

昨日は久しぶりに、ナレーション録音への「登板」だった。
俺の声のトーンが(本人申告による体調の好不調に関わらず)終始変わらないことをおほめいただいた流れで、そこから年齢を尋ねられる話の展開に。
まぁ40年も、声をコントロールする集中力を培ってきましたからねぇ。
「師匠」ご自身の年齢も、十分お若く見えますが(ということばが咄嗟に出ないコミュ障なワタシ)。
俺は「今月が誕生日だった」と年齢を告げたら
「30歳代かと思ってた」
んだそうで、かなりビックリされてしまった。

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当然、こーゆーパチンコも知ってる。
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金曜日の、バカ。

金曜のバカ (角川文庫)

金曜のバカ (角川文庫)

階段途中のビッグ・ノイズ』と同じ作者である、越谷オサムさんの短編集。
最近、仕事での代休や平日休みが木曜日に来ることが多く、正直「金曜日の出勤はダルいなぁ~(休んじゃえば3連休が成立!)」、という思いから、タイトルに惹かれて手に取った。
今夜風呂に入りながらついに読了。残念だ(あー、おもしろかった!)。

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